足すより、引くこと —— 変わりたい時に、まず考えてみたいこと



あなただけの幸せを
一緒に探すカウンセラーのじろうです。




「変わりたい」
「もう少し、自分を大切にしたい」
「自分のことを、もっと分かるようになりたい」


そう思ったとき、私たちはつい、「何を始めよう?」と考えます。


朝、少し早く起きよう。
本を読もう。
日記を書こう。
自分と向き合う時間をつくろう。
身体を整えることを始めよう。


どれも、自分のための大切な一歩だと思います。

でも、始めてみたものの、続かない。
何日かするとできなくなって、いつの間にか元に戻っている。

そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。


僕自身もあります。

そして、続かなかったとき、

「またできなかった」
「やっぱり私は意志が弱い」
「どうして私は変われないんだろう」

と、自分を責めてしまうことがあります。


でも、本当に足りなかったのは、「頑張る力」なのでしょうか。

もしかすると、新しいものを入れる場所が、そもそも空いていなかった。

それだけなのかもしれません。


仕事をして。
家事をして。
人に気をつかって。
頼まれたことに応えて。
LINEを返して。
これからのことを考えて。
過ぎたことを振り返って。
疲れた身体を休ませて。

私たちの日常には、すでにたくさんのものが入っています。

目に見える予定だけではありません。

「ちゃんとしなければ」
「迷惑をかけてはいけない」
「もっと頑張らなければ」
「こんなことで落ち込んではいけない」

そんな思いを、心の中でずっと抱えていることもあります。

そこへさらに、

「もっと自分と向き合おう」
「もっと前向きになろう」
「もっと自分を大切にしよう」

と、新しいことを足していく。

自分をよくするために始めたはずなのに、いつの間にか、

「これもできなければいけない」という新しい荷物になってしまうこともあります。

コップいっぱいに水が入っているところへ、さらに水を注げば、あふれてしまいます。

だったら、新しいものを足す前に、少しだけ減らしてみる。

そんな順番があってもいいのだと思います。


例えば、「もう少し、自分のための時間を持ちたい」と思ったとします。

今の気持ちを少し振り返ったり。
疲れている身体を休ませたり。
ノートに今の気持ちを書いたり。
何もせず、ぼーっとしたり。


ほんの10分でも、そんな時間があったらいいなと思う。

そのとき、
「今日から毎日10分、自分と向き合おう」と新しい習慣を足すだけではなく、

「その10分を、どこからつくろう?」と考えてみます。

寝る前に何となく見ているSNSを、少し早く閉じてみる。
家事をひとつ、明日に回してみる。
頼まれたことを、全部引き受けない日をつくってみる。
全部きちんと終わらせてから休もうとするのを、少しやめてみる。

そうすると、忙しい毎日の中に「自分と向き合う時間」を無理やり押し込むのではなく、自分のための時間が入ってこられる場所をつくることができます。

その時間をどう過ごすかは、その日の自分に聞いてみてもいい。
少し考えたい日もあれば、身体を休ませたい日もある。
誰とも話したくない日も、何もしたくない日もあると思います。

何かを始めることだけが、行動ではありません。

減らすことも、自分を大切にするための一つの行動です。



引き算は、時間だけの話ではないと思っています。

心の中にも、少し減らしたり、緩めたりできるものがあります。

例えば、「もっと前向きにならなきゃ」と思っているなら、
前向きな考えを増やす前に、「いつまでも落ち込んでいてはダメ」という自分への言葉を、少し緩めてみる。

「もっと人に優しくしなきゃ」と思っているなら、
さらに頑張って誰かに合わせる前に、無理なお願いに一度だけ、「今日は難しいです」と言ってみる。

「もっと自分を大切にしたい」と思っているなら、
新しいセルフケアを始める前に、自分に課している「これくらいできて当たり前」を一つ手放してみる。

「全部、自分で何とかしなければ」を少し減らして、
誰かに頼ってみることもあるかもしれません。


「変わる」というと、どうしても何か新しいものを増やすことを考えます。

でも、自分が背負っているものを一つ下ろすことも、立派な変化なのだと思います。


「やめる」「減らす」「手放す」という言葉には、少し後ろ向きな印象があるかもしれません。

「逃げたみたい」「できなかったみたい」「続けた方がいいのでは」と思うこともあります。

でも、引くことは、全部を捨てることでも、諦めることでもありません。


好きなことを、無理に我慢する必要もありません。

疲れた日にテレビを見ることが、自分を休ませてくれることもあります。
何となくSNSを眺める時間が、楽しい日だってあります。

友人と過ごす時間も、ぼーっとする時間も、何もしない時間も、人生には必要だと思います。

大切なのは、「これは無駄だから、やめなければ」と、自分をさらに厳しく取り締まることではありません。

そうではなく、ときどき、「これは今の私が、本当に選んでいるものかな?」と、自分に聞いてみること。

本当はしんどいのに続けていること。

断りたいのに、断れず引き受けていること。

もう必要ではないのに、「今までそうしてきたから」と続けていること。

100点でなくてもいいのに、完璧にやろうとしていること。


その中から、「これは少し減らしてもいいかもしれない」と思えるものを一つ見つけてみる。

それも、今の自分にとって大切なものを選ぶことなのだと思います。


「変わりたい」と思ったとき、新しいことを始めるのは、とても分かりやすい一歩です。

だから、

何をしよう。
何を学ぼう。
何を始めよう。

と考えます。

でも、その前に、「今の私が、一つ減らしてもいいものは何だろう?」と考えてみる。

大きく生活を変えなくてもいい。
何かを完全にやめなくてもいい。

SNSを少し早く閉じる。
今日は一つ、明日に回す。
予定を一つ入れない。
頼まれたことを一つ断る。
全部自分でやろうとするのをやめる。
「今日はここまででいい」と決める。


それくらいの、小さな引き算でもいいのだと思います。

変わるために必要なのは、今の自分に、さらに何かを背負わせることではなく、新しいものが入ってこられる場所をつくることなのかもしれません。

足すより先に、少し引いてみる。

小さな一歩とは、何も前に進むことや、何かを足すことだけではありません。

「一歩」の「一」を、マイナスにも見立ててみると、一つ減らすことも、大切な一歩。

そんなふうに考えてみてもいいのかもしれません。

「何かを始めなければ」と思っていた自分に、「何かをやめてもいい」という選択肢が増える。

それだけでも、これまでとは少し違う一歩なのだと思います。


以前、「余白」についてブログに書きました。

今回の「引き算」は、その余白をつくる一つの方法でもあるのかもしれません。

何かを少し手放したときに生まれる余白が、自分の心や、人との関わりにどんな変化をもたらすのか。

もう少し「余白」について考えてみたい方は、こちらも読んでみてください。

🌾「余白が生まれると、人間関係は変わりはじめる」

・変わりたいと思っているのに、なかなか一歩を踏み出せない方
・「もっと頑張らなければ」と感じることが多い方
・自分を大切にしたいけれど、どうしたらいいか分からない方



どうぞ、お気軽にご相談ください。


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