あなただけの幸せを
一緒に探すカウンセラーのじろうです。
僕たちの心の中には、
ある過去の時点から「止まったままの音」
があるのだと思います。
普段は忘れていても、ふとした瞬間に、
その音の続きが、胸の奥で鳴り始めることがあるんです。
「止まったままの音」とは、
途中で終わってしまった夢や、
言えなかった言葉。
そんな、誰にも知られず、
心に眠る “未完了の想い”。
今回は、僕自身がその想いを解消できたお話です。
小さな僕が背負った「未完の想い」
あれは小学3年生くらいだったろうか。
姉の影響で習い始めたピアノ。
正直、やる気があったのか、なかったのかも、今では曖昧で。
先生が来る時だけは、練習していた記憶がある。
そんな中で迎えた、初めてのピアノ発表会。
市民ホールでの、本番当日。
練習では弾けていたはずの曲。
けれど、ステージに一人で立ち、
客席にたくさんの人を見た瞬間、
突然、手足が震え、頭が真っ白に。
どこまで弾けたのかもわからない。
先生が来て、一緒に舞台を降りた記憶だけがうっすら残っている。
それ以来、僕の中には
「大舞台で失敗してしまう自分」
が住み着くようになった。
人前に立つたびに込み上げてくる、
あの日の苦い思い出。
指の震え、止まらない手の汗、
冷たくなる手、高まる動悸。
人の目がこちらに向くだけで、
身体が勝手に反応してしまうようになった。

憧れの場所は、遠い世界だった
あれは20歳くらいのころ。
中学時代の同級生に誘われて、地元のライブハウスへ。
同級生の一人がバンドを組んでいて、
ステージでライブ演奏が始まった。
心臓に響く音の衝撃、
キラキラと移り変わるスポットライト。
まばゆいあの空間を、
客席の隅から、僕はただ見ていた。
「何か、すげぇ…」
いつもと違う姿の同級生が、
とても輝いて見えた。
自分には、絶対できないことだけど、
素直に、「かっこいいな」と思った。

時は流れ、再び同じ場所へ
そして先日、二十数年ぶりに訪れたあのライブハウスに、
今度は“演奏者”として立つことになった。
かつて働いていた会社の音楽部。
その発表会が、偶然にもそのライブハウスで行われることに。
僕はご縁をいただき、
参加させてもらうことになった。
まさか自分が、
このステージに立つ日が来るとは。
ギターとベースを練習するのは10年ぶりだった。
本番前のリハーサル。
緊張で手がもつれ、思うように弾けない。
「やっぱり大舞台に弱いかも」
そう思った一方で、
「本番前にステージで一回練習できた。
しっかりと失敗を出し切った。
だったら、後は楽しもう」
そう思ったとき、肩の力がふっと抜けて、
心に少しだけ余白が生まれたのを感じた。

「未完」だったものが、時を超えて実を結ぶ
そして迎えた、本番のステージ。
指先は震えていたけれど、
音はやわらかく響いていった。
リハーサルの時よりも、
音もリズムも安定し、
のびのびと自由に踊っているような気がした。
—— ギターもベースも、これまでの練習含めて、
本番が一番うまく弾けた。
それ以上に、「楽しめた」という実感が、
何よりも嬉しかった。
本番で思っていたのは、
「完璧じゃなくてもいい」
「うまくやろうとしなくていい」
そんな、ゆるさ。
緊張を「克服」することはできなかったけれど、
緊張を持ったまま「幸福」になれた。
それが、僕にとっては何よりの収穫だった。
結果として、自分にこびりついていた、
過去の失敗のイメージが、この日、上書きされた。
怖くても、体の反応が出てきても、
自分ができることを、
楽しんでやれればいいんだよ。
そうやって思えた。
——あの日、子どもの僕が止めてしまったピアノの音。
その「続き」を。
大人になった僕が、
三十年以上の時を経て、奏でることができた。
そうやって思えた。

未来は、想像を超えてくるから、美しい
あなたの中にも、
「止まったままの音」がありますか?
途中であきらめた夢、
伝えられなかった言葉、
挑戦できなかったこと。
それらは、決して消えてなくなるわけではありません。
「未完了の想い」として、心に残っています。
そして、時が満ちた時 ——
思いがけない形で、ふたたび、
響きはじめることがあります。
ピアノの発表会を中断して席を立ったこと。
そこから、人前に立つ恐さが際立ったこと。
二十年経ったタイミングで、
自分が客席から見た舞台に、自分が立ったこと。
そして、その結果、
子ども時代に抱えたネガティブなイメージを、
三十年経った舞台で、新しく成功体験のポジティブイメージで上書きすることができたこと。
こうして、僕の未完了の想いが、溶かされていった。
怖くても、体の反応が出ても、その中で、
「今できることを、自分なりにやってみる」
たった、これだけのことで、
いつか「あの日の続きの音」を
奏でることができるかもしれません。
あの時の僕には想像できなかった、
面白い未来がやってきたように。

今日のQuestion?
あなたの中に残っている“未完了の想い”は何ですか?
・昔の失敗やイメージを今も引きずっている方
・「未完」のままにしている過去がある方
・想像を超える未来に、心を開きたい方
どうぞ、お気軽にご相談下さい。
【あとがき】
カウンセリングは、
そんなあなたの「止まった音」に、
一緒に耳を傾ける、尊い時間です。
無理をしたり、がんばらなくても、大丈夫。
続きの音が鳴り始めるタイミングを、
あなたのペースに合わあせて、
ゆっくりと、待ち合わせましょう。
そんな場所が、
カウンセリングルーム稲穂です🌾
——
来年は、同じステージで歌うことになるかもしれない…。
歌こそ、自信がない。
不安だー。
大丈夫か?
ああ、怖い怖い。
そんな思いを抱えながら、
さあ、どうなるか。
楽しみにしながら、
練習していこう。
あなただけの幸せを
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